2014年3月30日日曜日

ちゃんくすから卒業

春なのに.お別れですか.春なのに.ためいきまたひとつ.中島みゆきが作って某歌手が歌ったこのとき私は中学生でした.桜も満開.別れも出会いもある春です.ちゃんくすは,だいたいこの時期に別れを経験します.進学,就職,復学,転校などなど,転機を迎える方が多いです.

「作業ができるようになること」を地域の中でみんなに見られながら,みんなに関わりをもたれながら達成することにちゃんくすは力を注いでいます.今年もおひとり,遠くに進学します.義務教育時代は本当に悩みぬいた親子.中学校のときは一緒に死のうとまで考えていた時もあったとか.高校に入ってからは,お友達との出会いが彼を変えていったように思います.自宅が少し遠いのですが,ちゃんくすのイベントのときは原付でどこへでも来てくれました.
最初.彼には,これといった目標はありませんでした.将来なんになるのって言われてもねぇ…という感じです.ですので,いろんなことを体験してもらいました.夜遅く,朝早く.時には雨に雪に….どんなときでもやってきて参加してもらいました.ちゃんくすも,そんな彼を当てにしてイベントをしたこともあります.彼ならやってくれるだろう.彼ならやれるだろう.任せてみよう.もありました(というか,任せるしかなかった).
高校2年生くらいから目標を見つけるようになりました.見つけられたら即,実践でした.大学祭で出店して稼ぎ.開業している方に教えてもらって自分のなりたい姿を感じてもらいました.
そして.卒業です.同じ日本.何かあったらまた会えるわけだし.でも.ためいきまたひとつ.

ちょっと遠方の高校に通学が決まった方もいます.きっと,お会いする頻度は空いちゃうだろう.彼には学習という意味を本当に教えられました.目的があればいくらでも学習できる.やる気スイッチが入ったときが伸び盛り.スイッチを随分押せるようになったなーと思うと,もう自分の足で歩けるようになっていました.でも.やっぱり.ためいきまたひとつ.

文化人類学者のマーガレット・ミードさんは,その著書の中で….
「もっと豊かな文化、対照的な価値観に富む文化を築こうとするなら、人間がもつありとあらゆる潜在能力をすべて認識しなければならない。そのようにして、独断的でない社会という織物を紡ぎだすのだ。その中では、一人ひとりの才能がそれぞれにふさわしい場所を見つける。」と書いていました.ひとりひとりがそれぞれにふさわしい場所を見つけていけてるようです.

春ですなー.

2014年3月27日木曜日

44回目の誕生日でした

昨日は私の44回目の誕生日でした.いろんな方々にお祝いのメッセージをいただきました.ありがとうございました.

ちゃんくすを設立して4年が経ち本当にいろんなことが起こっています.そのひとつが資金繰り.ちゃんくすの「やってみたい」をかなえるためには当然人件費や活動費などのお金が必要です.社会的な課題にチャレンジしているので,どうしても委託費が多いです.この委託費は多くの場合はいわゆる立て替え払いが多いです.支払った後にお金が精算されて戻ってきます.当然活動すればするほど,この立て替え払いが多く,実質上トントンの経営状況でもいったんはお金がマイナスになっちゃいます.昨日,会議の場でご一緒した広島県のNPOセンターの方にそのことをお伝えすると,「うちもそうです」という言葉.どこも活動すればするほど,このような状況になってしまいます.悩んでいるのはうちだけじゃないんだという安堵感もありましたが,なんとか解決できないかなあ,と思いました.

また,昨日は三原市まちづくり推進協議委員会の年度末の慰労会でもありました.この委員会は,文字どおりですが,三原市まちづくり推進課から委嘱された委員会でして2年間の任期が終わりました.三原市では市民協業のまちづくりを掲げていて,住民のによる市政参画,地域課題の協業した取り組みを推進しています.しかし,今年度の三原市役所内の整理もあり,「まちづくり推進課」がなくなってしまいました.なくなるといっても,委員会は存続するし,内容も他の課に再編されるので,まったく問題はないのですが,私がとっても残念なのが「まちづくり推進課」という名前がなくなることです.名は大意を表すと言うのですが,これほどわかりやすい名前はないし,縦割りの行政の中をひとつに名の元で横のつながりを持たせるような名称だったように思っています.

委員そのものは継続ですし,私も継続して委員に立候補しています.しかし,看板の名前が変わるとなんとなく意識も変わります.できればこの名前は残して欲しかったなぁ…と思いました.

写真は,その委員さんの慰労会の一こま.町内の代表,団体の代表,行政の代表.いろんな方々でこうやって遅くまで語り合えるのが,まちづくりのひとつです.44回目の誕生日の1日はこうしておそーくまで話し込みました.本当にみなさん.お疲れさまでした.またよろしくお願いします.

2014年3月12日水曜日

就労体験の報告会と講演会

昨日,3月11日は三原市が行っている就労体験事業の報告会と研修会でした.この事業は一年かけて三原市が企業にアンケートをとって,企業での実習の場を提供するものです.働くことの腕試し,自分にあった仕事を見つけること,働くことを体験をとおして学ぶことが目的です.今年も多くの方が体験して,今日の報告会で発表していただきました.初めて働いてみた方,これまでも実習の経験がある方.それぞれの言葉で発表していました.楽しかったり,きつかったり,気づきがあったり,感想も様々です.もっと多くの人が体験して,自分なりの働き方を見つけるきっかけになればなーと思いながら司会をしていました.
後半は,福山市にある建内建材店の建内さんの講演を聴きました.様々な視点からの講演でして,会社で雇用している障害者のこと,自身の幼少期のこと,ご家族のこと,中小企業と雇用のこと,などいろんな角度から会社や従業員のことを捉えていました.障害者雇用ではない,単に従業員を雇っているだけだ.確かに働くスピードは遅いかもしれない,しかし,そんな方と仕事する中でどうすれば仕事が効率よく終わるかを従業員全体で考えると,全体でプラスになった.などのお話を聞くことが出来ました.障害者雇用は経営者の素質を試される….そんな気持ちになりました.
1日を通していろんな方の働き方を知ることができました.働くってのは,みんなチャレンジだなーと思いました.みなさん.お疲れさまでした.ありがとうございました.

2014年3月9日日曜日

視点の違いか

facebookではウォールに書き込みましたが,先週金曜日に青年社会活動コアリーダー研修会というのに参加しました.主にデンマーク,イギリス,ドイツ,ニュージーランドから障がい者の就労に関係する人たちが参加していました.日本で障がい者の就労支援…というと福祉施設か行政か,という感じでしょうが,そういった人たちは少なく,弁護士,起業した人,特別支援学校の教頭先生,などなど様々な背景の人がいました.
全体的に感じたことは,日本でも今回参加した国でも起こっている現象は似ているなーと思いました.ただ,決定的に違うのが,問題意識でした.
就労にしても教育にしても当事者の人たちが,社会参加の機会を阻害されることが問題,という問題意識です.障がい者だから,特別支援学校や学級に行くこと,就労支援施設に行くこと,障がい者雇用をされることが仕方がない,とは考えていませんでした.本人が決定して,失敗するのも本人.というものでした.いわゆる普通です.チャレンジする場,機会を奪われることが「障害」であり,社会的排除(social exclusion),や社会的包摂(social inclusion)という言葉が飛び交っていました.通訳さんもこのニュアンスの違いがわかる人で,本当に日本を含めて5ヶ国の社会背景の違いから来る言葉のニュアンスの違いを必死に説明していました.
多くの国では,働く場が見つけにくい方々は労働者生協のような組合に加入したり,自分でNPO法人を起業している人も多くいるようです.
ニュージーランドから来られた方は,いわゆる健常者ですが,彼女の上司は知的障害者だそうです.日本ではなかなかありえない話.

個人の作業ができるようになる機会をどれくらい実現できるか.作業的公正,作業的不公正という言葉があり,個人が作業的にちょうどよい状態であるかどうか,をあらわす言葉も作業療法の中にはあります.障害があってもそれが気にならない社会になることが目標だと再認識しました.

今回,参加したイギリスの方のうちのおひとりは筋ジストロフィーで電動車いすで来られていました.起業していてインターネット配信の出版物を作る会社だそうです.まぁきれいな紙面だこと.いろんな可能性を伸ばせる社会でありたいですね.

http://odi.dwp.gov.uk/docs/fulfilling-potential/aspire2-2.pdf


2014年3月1日土曜日

交流の1日

久しぶりのブログ更新になりました.ここ最近忙しいというか,考えることも多いというか,で夜もなかなか落ち着きませんでした.

今日は,ふたつの行事があっていました.ひとつは三原市の精神保健福祉ネットワーク「こころネットみはら」の「こころネット祭り」.今回から県立広島大学で行われていたものが駅前の保健福祉センターでの開催になります.私は当事者発表のお手伝いをしました.昨日は全盲の落語家,桂福点さんの講演会を聞きました.その時の話も今日の話も,周りに理解者がいれば,障害者が障害を感じることなく生きていけるというものです.少しでも何に困っているのかを聞いてくれれば,救われる気持ちになるかもしれません.人はひとりでは生きていけません.自律ではなく他律.人に助けられながら生きていくことを良しとできればな,です.考えてもみれば私もたーーくさん助けられて生きています.当たり前なんでしょうね.

それから,今日は三原駅周辺でひな祭りのイベントが行われています.これは,今年初めて行うイベントです.ちゃんくすもお手伝いしています.Yフットボールミニミュージアムを臨時開館させてもらってサッカーぜんざいを振舞っています.このイベント.ちゃんくすがお世話になっている本町でも行われていますが,できるだけ,自分達が何かをするのではなく,市民の中で何かする人でお客さんをもてなす…というコンセプトがあります.町にお客さんが来て,町の人がもてなすというものです.そうすれば,いつも人にやさしい町になるかもしれない.もっと違う魅力がでるかもしれない.そんな意識もあります.残念ながら,私はずっと関われないのですが,合間合間にチラチラと見て回りました.さすがにひな祭り.普段来られないような人が町を歩いていました.いろんな人が集まり,交わることで新しい見方やアイデアも浮かぶかもしれません.

今日のNHKのスポーツニュースで「スペクトラム」という話がありました.連続体です.勝者がいると必ずそこには敗者がいます.敗者がいるから勝者がいます.障害のある人も,ない人もスポーツという競技の前では,障害はあまり関係はありません.オリンピックとパラリンピックだって,競技をして敗者と勝者を決めるのですから分けられているけど,本当はそのスピリットに則れば同じ時間を共有して開催する方がいいはずです.

町もスペクトラムのはずです.赤ちゃんもいれば年頃の人もいれば,高齢者もいる.それを制度とかで切り取っていくから,生きていきにくくなるんじゃないかな.
私の中では,今日のこころネットも,ひな祭りイベントも実は同じテーマ.交流でした.それをあらわす一枚が冒頭の写真です.本町のおかみさんがみんなを迎え入れています.
明日は広島県作業療法学会です.交流もできるのかな.