2016年7月24日日曜日

山脇邸と作業療法

山脇邸という昭和元年に建てられた古民家が生まれ変わろうとしています。昨日は、改装前の最後のイベントでした。一昨年度から半ドン夜市の時にあわせて音楽ライブをしていました。一昨年は1回だけ。昨年は毎回。今年は2回ほど実施しました。昨年に比べたらできませんでしたが、今の自分にはあっている内容でした。

古民家を再生するのは作業療法に似ています。家として失った機能を地域の資源で再び取り戻し、音楽やイベントを通じて人と人が出会うことで新しい機能を持つことができる。
必要な時は専門家の知恵や技術を借りて、想いだけで動いている人たちが集まって必要なことをする。

いろんなことをする中で、本当に想いのある人も発掘してきて、そこで新しい出会いや新しいアイデアが形になることもありました。

山脇邸そんな人たちの想いが集まって社会の中で次のステージに進みます。
そんな最後の日が昨日でした。さみしい気持ちもあるのですが卒業式みたいな感じです。

社会復帰という言葉があります。家としての機能ではなく、何かができるようになるために生き物が進化してきたように、山脇邸は地域の資源として何らかの役割がとれるようになるため進化(改装)していきます。

そんな最後の活動でした。…といってもまだまだ続くのでしょうがね。

2016年7月20日水曜日

あかりプロジェクトin summer



7月18日(月)は海の日でした。ちょうど梅雨もあけてしまい、ついに暑い暑い夏が始まりました。そんな中、キャンドルのあかりを港で灯すイベントを行いました。いつもはキャンドルだけでなく、いろんな方々が描いた灯ろうの中にキャンドルを入れて飾るのですが、今回はキャンドルだけでやってみました。天気は快晴。梅雨もあけてカンカンの日差しの下での準備はけっこう身体にはつらかったようです。しかし、いつもは灯ろうの中にキャンドルなので、今回はあっという間に1時間くらいで完成しました。なんだ。けっこう楽じゃん。と思いきや、そこからが大変でした。

チャッカマンで火をつけるのですが、いつもは灯ろうに守られているため風があっても少々では消えないのですが、今回は風が吹くと消えちゃうじゃないんですか!つけてもつけても消えていくのでやる気もなくなりそうでしたが、ここはみなさんの手をお借りして、根気強くつけていきました。

日も陰ってくるとだんだんと風も弱まり、火がキレイに並びました。火というのは、つけたら管理しなければならず、火によって物の性質は変わり新しいものを生み出すエネルギーになる。だから火の管理は子育てに近い。陶芸の釜をされている方が言っていたのを思い出しました。放っておくと消えちゃうので、消えてはつけないといけない。ついたままではいけないので、最後は消してしまう。その間光を放つのが彼ら(火の)生き様だなとも思いながら、チャッカマンをカチカチしていました。そうやってついた光の波。海の日はとっても暑くてあたたかい気持ちにもなりました。

2016年7月17日日曜日

昔やっていた作業が復活する時

「本町ごはん はらのすけ」という就労移行支援事業所の運営をしています。お弁当とかお惣菜とか食を通じて地域を作っていきたい。という思いがあります。

美味しいものを作るとか、売れるものを作るとか、それはどちらかというと優先順位は低いかもしれません。かといってまずい物を作るわけでもありませんが。食は今や瀕死の状況です。コンビニやお弁当が美味しくなってたり、調理をする時間がなく販売されているものを食べる習慣がついてきているからです。高度成長期以降は核家族化でもあり、食の伝統や文化はなくなりつつあります。地域から食を作る畑や田んぼも減ってきたのも理由です。大量生産大量消費で外部から入ってくる食材しか流通しなくなりました。近くの田んぼや畑でできた物が大都市圏に流れて、地方の農家は契約農家さんになり、地域内の流通は本当にできなくなりつつあります。

食事は作る方も、食材の方も地域では賄えなくなりつつある…ということです。

そんな中でひとつ嬉しいことがはらのすけにはありました。はらのすけには、ボランティアでお越しいただいている調理の大ベテランさんがいます。数年前までは仕出し屋さんをしていて、地域では有名でした。やや高めの仕出し屋さんなので、いろんな味付けの仕方を知っています。切り方、調味料、食材の選択、食材を作ったりもしていました。

高齢になったことでお店をたたんでしまいましたが、そんな時にちゃんくすと出会って、はらのすけのお手伝いをしていただけるようになりました。

高齢になるといろいろと心配事もあり、できにくくなることもしばしばです。しかし、それでも調理がすきなのだと思います。本当にいろいろと指導をしてくれます。

そんな方が先日太巻きを作りました。そう。在りし日の自信のお店のブランドです。作ってみたくなったそうで、数本。太巻きを作って店頭に並べてみました。地域の人が地域で作られたものを地域の人が食べる。当たり前すぎて驚きますが、これこそが難しくなりつつある今、こういう作業ができるようになったことが嬉しかったです。

こういうことを価値にして、これこそをブランド(商品価値)にして地域で食べられる物を作ることができればな、と思いました。

2016年7月10日日曜日

さぎ島サイクリング~夏でも爆走だ!~

今日はさぎ島にサイクリングに行きました。いつもは、サイクリングだけなのですが今回は電動車いすと手こぎの車いすの方も一緒です。島一周は12キロ。自転車だと約40分で1周でき、しかもそんなにきつい坂もなく、さらに信号機もなく車どおりも少なく、ずっと海を見ながら走れるという、初心者が半日で満足できる大変ありがたい島です。お子さんでも、ちょっと始めよっかな軽い出来心でも達成感が味わえる場所です。

もう1年か2年前かに電動車いすの方と一緒に周ったことがあります。その時の感想が、こんなに爽快に走れるところはない。というものでした。その言葉がどこかに引っかかっていて、ようやく実現できたのが今回の企画。しかし、夏の日差しも強いし、そもそも車いすの方が長時間炎天下に出ることなんてないので、何かあった時のためとリフト付きの車も調達しての島一周でした。

今回の目的には、島の建物でトイレや休憩の場所を見つけることでもありました。今回行ったところは、残念ながらハード面では車いすの方が利用できそうにはありませんでした。しかし、島の方がいろいろと教えてくれて、どうにか可能性を広げようとしてくれます。あの場所だったらできるのでは?ホームページに書いてあるから見てみたらいい。

この可能性を見つけようとしてくれることが、バリアをなくす大事な行動だな。と感じました。そのためには、やっぱり出かけたり、やってみたり、とにかくdoing(すること)が大切だなと。やってみてはじめてわかることも多くて学びの多い1日でした。

ちなみに…電動車いすの速度は時速6キロ。これは日本では制限速度として道路交通法で決められています。これ以上出す車いすは許可がいります。1周12キロの島を周るのには最低でも2時間はかかります。だけど、自転車には法定速度が決められていない道路では制限速度がありません。自動車にも制限速度は決められているのに、どうして自転車は決められていないのでしょうか?なのに、電動車いすには法定速度が決められていて、自動車と同じ扱いです。なんだか矛盾を感じます。人ごみで危ないから…と言いますが、人ごみでは当然ゆっくり走行することも可能です。なんなんでしょうねぇ。この考え方は。

2016年7月9日土曜日

障害者雇用と同友会

昨日、同友会新聞が送られてきた。障害者雇用というと雇い入れる側は、なんだか負担を押し付けられるような錯覚に陥る。社会貢献として障害者雇用をしているという企業もある。

企業にとって人材育成は必須の課題だ。多様な価値観を求められる集団において分化と収束が求めらる。それは常にまとわりつく課題であり、いつまでもゴールが見えない課題でもある。おそらく、結果ではなく過程にこそ達成があるからであろう。

その行動の一端をこの記事から読み取れた。ある支部では「障がい者雇用受け入れMAP」と題して地図に障害者雇用をする企業を埋め込んで公表している。ある支部では、インクルージョン(包摂)部会という名称で、障害者だけではなく、児童養護施設の方に対しても活動の輪を広げている。

この記事の締めくくりでは、人口減少から雇用される人数の母数が減少するので、その対策にも障害者雇用を、とくくられている。そこには少しの違和感を感じつつも、多様な雇用が地域の中で生まれることが、企業の体質を変えていくことは間違いない、と感じた。

来年10月には隣の隣の市である広島県福山市で障害者問題全国交流会が開催される。地域の多様な雇用を支えるには中小企業の活動が福山から発信されることにわくわくしている。

2016年7月6日水曜日

ふぞろいの野菜

ここ最近気になる会社がある。自家ブランドの野菜を育てる過程や、それを商品にする時の選別や袋入れに障害者雇用をしている。今日は、さらにこんな記事が掲載されていた(7月6日付中国新聞朝刊)。
要約すると、地域の農家が提供する形も大きさも異なる野菜をほとんどを買い取り、流通に載せて商品化するというものだ。形が合わないものは外食や惣菜にまわすことで、そちらのコストも下げることが出来るし、なんといっても農家さんが一所懸命作った野菜すべてを販売すことが出来る。

ちゃんくすでは、お弁当やお惣菜を作っている(会社は別組織ですが)。もともとの動機のひとつには、地域で捨てられる運命にある野菜を少しでも食材にして、近所に住む方々に消費してもらうこと。遠くから来た食材で、同じようなものを大量生産するのではなく、地域で作ったものを地域の人が加工して地域の中で消費する循環を産みたかった。しかし、当然作る人がいるわけで、その人材は雇用がなかなかできづらい方々と一緒に作りたかったし、現在、そうしている。
この形態がうまくいくのか、この形態でやり遂げられるのか、はわからないけど、今のところはなんとかやれているようにも思える(…わからないけど)。

このお弁当作りをするころもいくつかの野菜を追いかけたけど、多くの答えは一緒だった。すでに売り先が決まっている野菜なんよ。でもサイズの違うのは売れんけぇ、それなら(ほとんど無料同然で)提供できるよ。多くの農家さんは契約農家となっていて、売り先が指定する物を指定する大きさで指定する日にちに指定する量作ることを要求されている(ようだった)。地域の野菜は流通に乗って遠くでお金にかわっている。

でも、売れ残っている(と解釈される)野菜にこそ、地域で使われるべきものじゃないかと(どうも私には被害者意識みたいのがあるのではないかと思うが)。使われなくなった家、空いている土地。地域には資源がある。

勝手だけど、このエブリィも同じ方向を向いているような気がした(まー勝手な解釈だこと)。

2016年7月2日土曜日

埼玉-東京-神奈川-千葉

今年のカープは歴史に残るゲームをしてますね。三者連続ホームラン、二夜連続サヨナラ、41歳ピッチャーの走者一掃のツーベース。ホームゲームとはいえ11連勝に、連敗しないチーム。このまま突き進んで欲しいものです。

さて。もう古い話ですが、先週末は結構な関東遠征をしていました。かなり久しぶりの関東。人に会う約束もほとんど実現しないままだったので、2泊3日で人に会ってきました。もちろん。大きな目的は千葉で開催された保健福祉領域の作業療法士による意見交換会への参加とネットワーク作り。今回は準備も担当したので、カバンの中は60名分の資料でパンパン。実践報告をする方の熱い想いと、60名もの参加者の期待を詰め込んで行きました。

埼玉では、福島尚さんの絵画を見に行きました。自閉症を持つ福島さんは小さい頃から大の電車好き。ご両親としょっちゅう電車を見ては、それを形作ったり、絵に描いたりしていたそうです。小学生時代の作文も紹介されていましたが、その時に書いた作文どおりに大人になっているようです。写実主義という名前でくくられるのでしょうが、そこには独特な描き方と、非常にハッピーな物語が同居していました。全体と部分のバランス。ものへのこだわり。集中力を感じる細やかさとダイナミックなサイズ。どれをとっても「個性」です。
偶然にも、ちょうど彼の後援会の代表の方とお会いすることも出来ました。
私にとって、芸術というのは、自分の中に滑り込んできていつの間にかとりこにしてしまう存在です。とにかく、私の感覚を越える作品群でした。実際に見れて本当によかったです。ぜひとも、この感動をいろんな人たちと共有したい。と思いながら後にしました。

そして、いくつかの障害者雇用をしている企業を回りました。スワンベーカリー銀座店にも行きました。人通りも多いのでしょうが、それでも多くの方がパンを買い、イートインで食べる姿は三原店にもとても参考になりました。接客からパン作りまで障害を持った方が働いています。会社の中にいろんな人材があってこその企業なんだなとどこでも感じました。

そして千葉です。今回は多くの方が参加しています。この意見交換会は2回ぶりの参加です。参加者もベテランから新卒まで多種多様。上下関係のないコミュニケーション。魅力的な活動。いろんな場面に作業療法士が関わり、作業というめがねで人を捉え、共に生きている感じがしました。以前は作業療法士は、ほとんどの方が医療機関を職場としていました。しかし、今は一年目から福祉領域の施設で働いている方もいました。本当によい選択をしたと思います。
今回のこの交流会は多くの医療関係の方も来ていました。入院したときから、外来で病院にかかってから出来るだけ早く社会参加を達成できるようになるため、社会からやや隔離された場所でも働くことを通して介入していました。

地域にとってセーフティーネットというのはとても大切です。一番底辺になる施策だと感じています。しかし、国などの補助があまり期待できない今。地域にとって地域の商工施策はとても大切です。地域でお金を生み出すような産業があれば、福祉の財源になります。

今回の関東遠征は、福祉と産業を考えるいい機会にできました。